2012年6月5日火曜日

ペンシルベニア見聞録

4月17日から5月8日まで3週間、栃木県派遣チームのリーダーとして米国ペンシルベニア州東部を訪問した。国際ロータリー財団の研究グループ交換事業でメンバーは県職員、宇都宮市職員、NTT職員、下野新聞社記者の5人。栃木県の魅力や東日本大震災後の状況を英語で説明するプレゼンテーションを6箇所、延べ500人の人々を前で行なった。日本と栃木の紹介、大震災後の日本の復興に向かっている様子を紹介し、現在の状況を説明、風評被害の払拭に努めた。最後に震災直後からの米国からの支援に対し感謝の言葉で締めくくると、会場が総立ちとなって暖かい拍手を送ってくれた。全員が胸を熱くした瞬間だった。

  今回の事業の目的は、主に30年前に炉心溶融事故を起こしたスリーマイルアイランド原発をはじめ州内のサスケハナ、リメリックの3施設、緊急災害時における危機管理体制等について学ぶことだった。特にテロ対策が強化されて以降、原子力発電所施設中に入る事は不可能と言われたが、幸運にも民間人で初めて機械室、中央制御施設まで入る事が出来た。更に関係機関の協力で3つの郡(カウンティー)の危機管理部門も訪問し、原子力災害への備えについても学ぶことができた。911でアメリカはドラスティックに変わった、そう強く感じさせる3週間だった。  

テロ対策で培った危機管理システムは驚く程進んでいて、国レベルの情報管理通信システムが各郡市に設置されていて、様々な災害にも対処できるように、必要な設備、ボランティア、赤十字や医療関係、警察や消防が一体化している。あらゆる事態を想定した演習も数千人規模で年に数回実施されている。救急医療も一次〜三次救急まで全体の80%を網羅し、救急医療専門のスタッフが救急車に同乗し、10分以内に病院に搬送するまでに病院に患者の状態、緊急のレベルそして必要な医療体制を指示、病院に着くと各専門医がグループで患者の状態を確認し、スーパーバイザーの医師が総合判断をし治療にあたる。日本のように患者が救急車に乗って病院をたらい回しになるという事態が回避できる医療体制、情報システムが構築されているばかりか、残り20%の僻地の救急医療のために四次救急の構築まで視野にいれているのには驚愕するばかりだ。危機管理システムにおいては、緊急災害時に一人の弱者も取り残さないようにデータ化されている。 3.11で日本はどう変わっていくのか。  

今回改めてメンバーが皆実感したことは、やはり英語力と、物怖じせずに相手の懐に飛び込むストレートなコミュニケーション能力の重要性だった。ほとんどの会合が通訳なしで行われたため、学びに来たという信用度が増し細部にわたっての視察を行う事が出来た。そしてグローバル社会の一員として、改めて自分たちを位置づける事が出来た体験は貴重だ。奇しくも滞在先は、佐野市の姉妹都市ランカスターの近隣の地区でもあり、市長の親書を携え同市のグレイ市長を訪問。大変な歓迎を受けた。

また、妻が独身時代一年間をすごした、フィラデルフィア近郊のポッツタウン市にも立ち寄る事ができ、特にお世話になった2人のホストマザーと教会の人々に再会できたことは本当にうれしく感激であった。この体験を今後の活動にぜひとも反映させていきたいと強く願わされている。

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